2017年9月17日日曜日

【別冊ラムヤイ】ラムヤイ・ハイトーンカムはなぜタイの人々に愛されるのか

◆セーク・ローソーからのラブコールで実現した奇跡のデュエット「カーロック・カーロッ」

ラムヤイについて書くのも久しぶりです。いかんせん、ブログを更新していませんでしたからね(笑)。

ただ、毎度毎度ラムヤイの事ばかりを書いていても飽きられるので、意識的に避けていたという事もあります。その結果、更新が滞ってしまったのですが。

前回ラムヤイの記事を書いたのが3月でしたから、それからかれこれ半年ほど経ってしまったのですが、その間、ラムヤイ周辺では本当にいろいろな事がありました。

その時の記事は「プーサオ・カーロッ」がYouTubeで1億回の再生回数に達したという内容だったのですが、それから半年経った今は何と3億回を超えてしまいました。まさか、ここまで伸びるとは思いませんでした。

曲の人気はもちろんの事、タレントとしてのラムヤイの注目度も格段にアップし、コンサートは連日休み無く、1日3~5ヶ所を周っていますし、テレビやCMへの出演や雑誌で取り上げられたり、映画が作られる事になったりと活躍の場は多方面に渡っています。

◆ラムヤイをはじめとしたインディー歌手が特集された雑誌「BIOSCOPE」


◆これから撮影される予定の映画「プーサオ・カーロッ」


また業界内から評価も高く、冒頭に貼った写真をご覧いただいても分かるように、あのセーク・ローソーからラブコールが来るという意外な展開もありました。また、年末に行われるタイでは最大の音楽フェス、Big Mountain Music Festivalにも出演することが決まり、今やモーラムという枠を超えた人気者になっています。

ではなぜ、1曲ヒットしただけなのに、なぜここまで人気が拡大したのか、自分なりに分析してみました。

【1】若い女の子たちが共感してくれた曲の内容

今回のヒットで一番大きな要因になったのが、「プーサオ・カーロッ」という曲が上手くタイの人々の感覚にマッチした事です。

特に歌詞の内容が若い女の子達の共感を得たようで、ヒット後コンサート会場に来るお客の比率が圧倒的に女性が多くなったのは、これまで応援してきた身としては嬉しい誤算でした。

また、この曲が歌いやすかったという点もヒットの大きな要因でしょう。今ではコンサートの定番となっていて、多数の歌手がステージで歌ってくれています。

タイではまだ著作権という概念が浸透していないので、他人の曲を歌うのは比較的自由です(一部、その辺をかなり厳しくしている会社もありますが)。

なので、どれだけ多くの歌手に歌われるかがヒットするかの鍵となる訳です。その点でもこの曲が成功した一因となりました。

それもこれも、この曲の作者であるアーム・チュティマーの音楽的才能による所が大きいと言えます。

今やクルー・サラーも認める彼女の才能。

アーム自身が歌う曲「アディート・クーイ・パン」とこのラムヤイに作った曲のYouTube再生回数を合わせると、4億回を超えているという点でも、この未来の才能に大きな期待が持てます。

◆テレビ番組「モーラム・ファン・ペット」に出演した際のラムヤイ。パネラーのクルー・サラーがコメントする際に、作者のアームについて触れています。



【2】高い歌唱力と大衆受けするタレント性

曲の良さもさることながら、その曲の魅力を最大限に引き出したラムヤイの歌唱力も、彼女が人気を得たポイントです。

そして、そのルックスも含めてタレントとしてのポテンシャルが高かった事もあって、ラムヤイがタイのメディアを席巻する事になりました。

日ごろのステージで鍛えられている話術や、演技なども出来る事から、テレビ出演やCMのオファーなども多数来ています。

ルークトゥンモーラム歌手でヒット曲を出した歌手は多数いますが、こういう幅広い活躍をした人というのは、そうそういません。

◆ラムヤイをキャラクターに使用した商品のCMソング。実はこれがラムヤイにとっても初のMV。



◆ラムヤイが起用された通信会社TrueのCM。



【3】ジャンルを超えたポテンシャルを持ち合わせる音楽性

これは歌唱力という点にも共通しますが、ラムヤイの場合、単に歌が上手いというレベルではなく、様々なジャンルに対応できるポテンシャルも持っているという事です。

その点は音楽的なセンスが優れている人なら、時間がかからずすぐに分かるものですが、やはり多くのミュージシャンが彼女の才能に気づきはじめています。

その証拠のひとつが今回のセーク・ローソーとのコラボレーションです。

ルークトゥンモーラム歌手とロック系のミュージシャンとのコラボレーションというのは、これまでもパーン・ナカリン×タカテーン・チョンラダー、ラバヌーン×パオワリー・ポンピモンなどありました。

しかし、ラムヤイとセークの場合は、インディー歌手がタイのトップミュージシャンであるセークからの熱烈なラブコールを受けたという点でも、それまでのレコード会社主導の策略的なコラボレーションとは意味合いが違います。

◆9/16に公開されたセーク・ローソーvsラムヤイのコラボ曲「カーロック・カーロッ」


また、毎年12月に行われているタイ最大の音楽イベント「Big Mountain Music Festival」にも出演が決定しました。

◆12月9、10日カオヤイで開催されるBig Mountain Music Festivalの出演ラインナップ。赤丸で囲った部分がラムヤイの名前。


このイベントにルークトゥンモーラム歌手が出演するのは珍しい事ではありませんが、ラムヤイくらいのキャリアで出るのは快挙です。

しかも、今回は異色のコラボが計画されているようで、先日朝の情報番組でイベントの宣伝も兼ねて、ラッパーのゴルフ(Fucking Hero)、エー(Boom Boom Cash)と共にEDMヴァージョンのプーサオ・カーロッを披露していました。

◆ラムヤイ×ゴルフ×エー/プーサオ・カーロッ(EDMヴァージョン)



【4】タイの人々にとって久々に現れた本物のアイドル

タイの人たちの反応を観ていると、久々に現れた本物のアイドルに歓喜しているように思えます。

ラムヤイはイサーン出身で、歌っている歌もイサーンの言葉を使っているので、本来でしたらイサーンローカルの人気者で終わってしまっても当然ですが、今やイサーンやバンコクだけでなく、北からも南からもコンサートのオファーが来ています。

この人気の広がり方はかつてのインリーがブレイクした時を連想しますが、ラムヤイにはインリーが持っていなかった親しみやすさがあるのか、その熱狂ぶりはインリーのそれを遥かに超えている印象を受けます。

今のラムヤイの人気は、どちらかというとプムプアンの影を感じます。ただ、プムプアンの場合は1曲売れただけではなく、短い期間に数々のタイ音楽の歴史に残るヒット曲を歌ってきていますから、今の時点では何とも言えませんが、その可能性は充分にあると思っています。

◆2017年7月ラッチャダーでのラムヤイのライブから「プーサオ・カーフィアオ」。


2年前に初めてラムヤイを観た時、「何かのキッカケがあれば、この娘は必ず売れる」と直感的に感じたものですが、それが現実に、それもこんなに早くやって来るとは、自分自身でも驚きです。

◆2015年10月にバンコクで観た、初めてのラムヤイのステージ。まだ初々しさが残っていますが、その後の片鱗は感じさせてくれます。





人気がどうであれ、自分にとってラムヤイはタイで出会えた最高の歌手。

この人気がいつまで続くかは分かりませんが、どういう状況になっても、これから先も変わらずラムヤイを応援していくつもりです。

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